足関節捻挫の治療について

Kenmochi Orthopaedic Surgery,Sports Medicine, the Organization of Sport

当クリニックの治療に関してご説明いたします。


足関節捻挫とは

足関節前距腓靭帯損傷は、足関節の過度のうち返しによって生じる捻挫として最も頻度の高い足関節外傷です。しかし、その治療法は現在においても、症状で選択され靭帯修復の有無は軽視されがちでした。

客観的な損傷診断には従来、足関節内反力に対するストレス レントゲン撮影(痛めた足関節をさらにうち返しさせて、どれだけゆるく不安定かを確かめる検査方法)で判定するか、あるいはMRIで靭帯断裂を映す方法がありますが、前者は検査に大きな痛みを伴い、後者は即時対応が難しいという点で検査を躊躇する要因となっていました。

超音波画像検査は、性能・利便性向上にともなって、整形外科的病態へ用いられるようになってきましたが、足関節靭帯損傷の治療法に直結する診断への臨床応用は確立していませんでした。

当クリニック院長の論文研究では、超音波画像による足関節前距腓靭帯損傷の診断とともに損傷の重症度判定を試み、画像上の重症度ごとの治療法を提案し、その妥当性を画像上の靭帯修復と臨床症状の経過で検証しました。

【検証の結果】

結果は95%の症例で4段階評価のexcellentとgoodに判定され、99%の患者はスポーツを含めもとの活動に復帰を果たし、他の診断と治療選択の組み合わせの報告と比べ、優れた結果となりました。

上昇トレンド検定でTypeⅠから重症のTypeⅤに向けて治療結果が悪くなること、適合度検定で良い結果の患者群が悪い結果の群より有意に多いことも示され、本法による重症度分類と治療プロトコールは妥当と考えられました。

足関節捻挫の治療の画像

【結論】

超音波画像を用いた損傷靭帯の診断は、靭帯損傷の重症度を判定し、適切な治療法を選択する方法として簡便で有用な方法です。研究論文は足関節前距腓靭帯損傷を超音波画像による分類法を考案し、その重症度に応じて異なる保存的治療法を選択することを提唱した世界で初めての報告となりました。

超音波画像検査は侵襲がなく、利便性は高く、動的な所見も得られることから、従来の診断法と比べ優れており、本研究の臨床的意義は高いと評価され、当クリニック院長の医学博士号論文として認定されました。